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考察
今回の調査では、これまで行ってきたケアに対する反応について、患者との関係、年代性別、ケアの対象者、また入院期間などにおいて有意な差異は見られなかったが、症例でも見られるように全体の傾向としては次のような特徴がみられた。
?入院期間が1か月以上で対象が妻の場合、ビリーブメンドケアヘの印象が比較的よい。
?入院期間が短く対象が妻の場合、ケアを受けている時は辛かったが、1年以上経過した今はよかったと受け入れている。
?対象が夫の場合は、入院期間にかかわらず、ビリーブメントケアを受け入れにくい。今後は距離をおきたいと思っている場合が多い。
?その他子供、友人の場合は冷静に受け止め、客観的に評価している場合が多い。
一方、回収されなかったアンケートをどうとらえるかという問題がある。
その原因として、次のような点がある。
?アンケートを自由記載方法にしたことが逆に煩わしさを与えたのではないか。
?死別体験者の悲嘆は、その人の心の中に秘められていることが多く、あえて関わりを持つことに抵抗感を持ったのではないか。
このようなことが推測される。この点については、今後さらに検討する必要があると考える。
まとめ
死別体験者の悲嘆は、患者とともに生きた過程やその後の環境により個別性があることを今回の調査で再確認した。この学びを今後のビリーブメントケアにさらに生かし、カードの文章や、送付時期、追悼式の会の持ち方、家族会の検討などを行っていきたい。

 

 

 

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